経営管理ビザ、2名以上の外国人が共同で事業を経営する場合

経営管理ビザと共同経営

外国人が日本で会社を設立してその経営を行う場合は在留資格「経営・管理」の活動に該当します。複数の外国人が共同で会社を設立又は既存の会社が新たに外国人役員を加えるケースも珍しくなく、その場合は慎重に在留資格「経営・管理」の申請を行う必要があります。

共同経営の場合における入国管理局の判断基準

在留資格「経営・管理」の在留資格に該当する活動は、事業の経営又は管理に参画する者としての活動となり、実際の活動内容が判断基準となります。そのため、役員に就任して役員報酬を受け取っているだけでは在留資格に該当するものとはみなされません。共同経営の「経営・管理」で許可を得るには、事業の規模、業務量、売上等の状況を考慮に入れた上で、事業の経営又は管理を複数の役員が行うことに合理性があると認められる必要があります。具体的には申請人の①具体的な業務の内容、②業務量、③役員報酬額等の説明が必須となり、①を説明するためには、役員それぞれが従事する業務内容を明確にしておく必要があります。

入国管理局が公表している事例

許可事例 1

外国人A及びBがそれぞれ500万円出資して,本邦において輸入雑貨業を営む資本金1000万円のX社を設立したところ、Aは、通関手続をはじめ輸出入業務等海外取引の専門家であり、Bは、輸入した物品の品質・在庫管理及び経理の専門家である。Aは、海外取引業務の面から、Bは、輸入品の管理及び経理面から,それぞれにX社の業務状況を判断し、経営方針については,共同経営者として合議で決定することとしている。A及びBの報酬は、事業収益からそれぞれの出資額に応じた割合で支払われることとなっている。

⇒異なる専門分野を持つ二人が合議制で会社を経営する形となります。一人ではできない部分を補うことができるため、このパターンの共同経営はメリットが大きく、同様の方法で運営されている会社をよく見かけます。

許可事例 2

外国人C及びDがそれぞれ600万円及び800万円を出資して、本邦において運送サービス業を営む資本金1400万円のY社を共同で設立したところ、運送サービスを実施する担当地域を設定した上で、C及びDがそれぞれの地域を担当し、それぞれが自らの担当する地域について、事業の運営を行っている。Y社全体としての経営方針は、C及びDが合議で決定することとし、C及びDの報酬は、事業収益からそれぞれの出資額に応じた割合で支払われることとなっている。

⇒地域で担当を分けているケースです。

 他にも、経営・戦略担当と営業担当を分けているケース、経営担当と輸出入実務担当を分けているケース、経営担当と資金調達担当を分けているケース、事業の数だけ様々な共同経営の形があります。

ビジネスパートナーと力を合わせて事業を経営することは、大きな相乗効果が見込まれるため、多くの会社がこの形をとっています。日本で会社を設立する場合は、共同経営の選択肢も覚えておいて損はないかもしれません。